色と空のあわいで - 松浦寿輝

人智には窺い知れない絶対者の業罰と救済の意志を仮定せずにはいられない文明の方こそ、むしろある意味で、とんでもない神経症を病んでいるとも言える。なるほど彼らは、そうした極端な妄想を代償としてしか切り抜けることができないほどの、徹底的な亡国の災厄に繰り返し見舞われてきたわけでしょうが、黙示録なしでやっていくことをもし歴史が許してくれるなら、それはそれでむしろ一種の恩寵なのではないかと思うのです。